テードゥンムニ講座 第1回 – 雨 –

雨にまつわるテードゥンムニ

今年の梅雨はよく降ります。
昨年も、一昨年も、空梅雨に近かったので、3年分まとめて降っているのかもしれません。
今日は朝から雷も多く、隣の石垣島では道路は冠水し、観測史上最高の120mm/(時)を記録したとのこと。
竹富島でも家の周りが小川のようになりました。

そこで今日は、この時期にぴったりの「雨」にまつわるテードゥンムニ(竹富の方言)を10つの例文でご紹介します。


1 アミヌドゥ フップ

〈語彙〉
アミ:雨
フップ:降る

〈意味〉
雨が降る


2 アミカジン スバサヌ

〈語彙〉
アミカジ:雨風
スバスン:風に当てる。風に吹かせる。

〈意味〉
雨風にも当てない〈大事に育てる〉


3 ピットゥリン アミツヅキ ナリ

〈語彙〉
アメツヅキ:雨続き。雨の日が続くこと。アマチヅキともいう。
ピットゥリン:毎日。ピットゥルインともいう。

〈意味〉
毎日、雨が降り続いている。


4 クトゥシヤ アミドゥシ アタリ、ダムヤ マンパイトゥ

〈語彙〉
クトゥシ:今年。
アミドゥシ:雨年。雨の多い年。

〈意味〉
今年は雨年にあたり、ダムは満杯だそうだ。


5 ムカシヤ、アミニンガイヌドゥ ダイジナ ギョージ デッタラ

〈語彙〉
アミニンガイ:祭事の名。雨願い。雨乞い。雨が降るようにと祈る祭祀。

〈意味〉
昔は、雨願いが大事な行事だった。


6 ピージュ アミフッピ、ハテヌ ナーイ ペーラルヌ

〈語彙〉
ピージュ:一日中。日一日。終日。
アミフッピ:雨降り。雨が降ること。
ハテ:畑。畑の数を数える場合に用いる語。
ナーイ:〜で。〜において。〜の許へ。動作が行われる場所や方向を表す。
ペーラスン:入れる。

〈意味〉
一日中雨が降ったので、畑の中に入られない。


7 アミフッピシタフ シ ハリ

〈語彙〉
アミフッピシタフ:雨支度。濡れ支度。雨に対する支度。「雨降り支度」の意。
シ:〜で。(動作の)手段・方法を表す。
ハルン:行く。進む。走る。流れる。漏れる。

〈意味〉
雨降りの支度をして行きなさい。


8 アミフッピテンキ ナリッタンティン、ウンドーカイヤ シールントゥ

〈語彙〉
アミフッピテンキ:雨降りの天気。雨降り。

〈意味〉
雨降り天気になっていても、運動会はやるそうだ。


9 ヤンガティ アミフップン

〈語彙〉
ヤンガティ:やがて。おって。あわや。すんでのところで。
アミフップン:雨が降る。

〈意味〉
やがて、雨が降る。


10 アータラ アミフムヌ ッサリキッタ。アミフップンド

〈語彙〉
アータ:東の方。
アミフム:入道雲。雨を降らせる雲。「雨雲」の意。

〈意味〉
東から雨雲が押し寄せてきた。雨が降るぞ。


以上です。
いかがでしたか。

テードゥンムニは戦前まで竹富島で使われてきた言葉でしたが、戦後の「方言札」の時代に話す人が少なくなりました。
現在は、話せるおじぃ、おばぁがだんだん少なくなってきています。
地域では島の子ども達に伝えていく活動が行われています。

言葉を学ぶことで、その土地の文化への理解が深まります。
私も少しずつ勉強して行きたいと思いますので、今後もどうぞお付き合いください。

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