島の暮らしの紹介とちょこっと本音
2023年が始まりました。
健康にお正月を迎えることができました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
島の近況
島は、10月ごろから雨が多く、12月は八重山の冬らしく、風や波が強い日もあり、石垣からの定期船も欠航する日がありました。
年明け三ヶ日も時折小雨の降る曇りがちなお天気でしたが、3日のお昼頃には太陽が出て、海で泳げるほど気温が上がりました。
観光客は増えてきていますが、新型コロナ感染防止の対策で、今年も引き続き、島の行事は縮小されています。
昨年10月の一年で最大のお祭り「種子取祭」は奉納芸能の点数を少なくし、一般の方の見学を制限することで開催されました。
12月には島の言葉を継承するための伝統行事「テードゥンムニ大会」が2年ぶりに開催されました。
本来であるならば1月2日に開催される成人のお祝いを兼ねた新年会は今年も中止でしたが、新たに二十歳を迎えた4名の若者が島に帰省していたので、有志でお祝いの場が設けられていました。
このところ、原油高の高騰などの影響で離島在住者向けの石垣へのフェリー価格がが高くなったり安くなったりしていたのですが、ひと頃は往復900円ほどだった運賃が12月から大人往復380円ととてもありがたい料金になっています。
買い出しや所用で石垣へ行く必要がある島民にとっては本当にありがたい離島割です。
島暮らし – 家と仕事
島に暮らす上で、必要になるのが住む家と仕事。
今の時代、家探しはネットで探すのが当たり前ですが、島の物件はネットはもちろん、不動産屋さんでも探すことは難しいでしょう。
島の暮らしや風土を守るため、島外の人にむやみに家や土地を売ったり貸したりすることはしないようにしているからです。
家をはじめに探すのは難しいですが、仕事はあります。
島は観光業が盛んですので、宿泊施設や飲食業のスタッフは募集しています。
住み込みや従業員宿舎のある仕事に就くことで島に住むことができます。
ところで、十五の春で島を巣立っていった若者が、島に戻ってできる仕事はあるのでしょうか。
家業の観光業を継いだり、島の施設で働く道もありますが、選択肢は多くはありません。
そんな中、将来性を感じるのがテレワークでできる仕事です
ここ数年のうちに、テレワークで仕事ができる環境が進んでいますが、島でも光通信が普及していますので、その方法を使うことで島に暮らしながら働くことも可能な時代になっています。
私も昨年よりテレワーク可能な仕事を始めましたが、通信環境はほぼ問題なしです。
唯一心配なことは、宅配便が届くのに1週間以上かかることがあるということ。
電子的なやり取りはタイムリーにできますが、端末や周辺機器が物理的に購入・交換・修理が必要になったり、書類のやり取りが発生した時などは、内地にいる時のようなスピード感は期待できません。
ただし、すでに十分環境が整ってきているので、島の人、子どもはもちろん大人もリスキリング(ITスキルを身に付ける)をして職業選択の自由が広がると良いなと思います。
健康と病院
島で暮らす時に心配なことの一つが病気や怪我をしたときのことです。
島には診療所があり、医師と看護師がいますが、あらゆる症状に対応できる設備はありません。
心臓の発作や脳の出血などがあれば、ヘリコプターで沖縄本島まで運ばれるケースもありました。
救急車を呼べば来てくれるような内地と違い、処置に時間がかかるため、重い後遺症が残ることもあります。
そのような事態にならないよう、予防に気をつけておく必要がありますが、いざ、通院なしでは生活が困難となれば島暮らしは諦めることになります。
私は、健康診断は石垣の徳洲会病院で、歯の治療は石垣の歯医者さんで、肩や腰を痛めた時にはサクラ整骨院でお世話になっています。
島の妊婦さんは、臨月に入ると石垣島に滞在し、助産院や八重山病院などで出産されているようです。
健康でいられることは本当にありがたいことです。
島の子育て・教育環境
自然の中で、のびのびと、島の方に見守られながらの子育ては、とても良いと思います。
保育所も、小中学校も、子どもの数が少ないので、一人一人きちんと見てもらえています。
ひとクラス30人以上の学級がいくつもあるような学校と違って、みんなが主役です。
学芸会も、運動会も、見る方も忙しいほど、出番が多いです。
〈保育所〉
島には保育所が一つあります。
昨年、施設が新築されました。
保育所とは言っても、2歳にならないと入れない、預かってもらえる時間が8時半過ぎから4時過ぎまでと短めなので、両親ともにフルタイムで働くことは難しいのが、辛いところです。
いざ保育所に通うようになれば、自然いっぱいの環境で、のびのび遊べます。
〈小中学校〉
昨今、学校の先生の働く環境が厳しい(長時間労働、残業手当がない)という問題が叫ばれていますが、竹富島の場合はほとんどの先生が石垣島から通勤されてくるので、始発のフェリーで出勤(8:00前後)、遅くとも最終フェリーで退勤(17:50)という制限があります。つまり必要以上に早く出勤することもできないし、暗くなるまで残業もできない環境です。(島に住んでいる4名の先生の負担が大きくなりがちな問題はあります。)
児童生徒の数はひとクラス多くても10人を超えることはないので、内地のマンモス校の先生と比較すると気持ちに余裕ができるのではないでしょうか。
そのような、先生と児童生徒の数のバランスは本当に贅沢だなぁと思います。
そのため、竹富島を希望する先生はとても多く、竹富島配属になるのは宝くじに当たるのと同じぐらい難しいと聞きます。
都会では小学校高学年や中高生は学校が終わった後、塾に行く生活と聞きますが、島には塾がありません。
子どもたちはランニングのクラブで走ったり、バドミントンクラブの活動ができますが、水泳教室やピアノなどのお稽古事は土日に石垣島に行かなければできません。
息子は野球やサッカーがしたいようで、一人で壁に向かってキャッチボールやサッカーボールのパスを練習していますが、一緒にやってくれるお友達が少ないことが少しかわいそうではあります。
〈中学卒業後〉
島には高校がなく、十五の春と言って、竹富町の島の子どもたちは15歳になると高校進学と共に島を離れることになります。
隣の石垣島の高校に通うとしても寮生活になります。
沖縄本島や内地の高校に進学する子もいます。
そのまま内地の大学や専門学校に進む子が多いです。
〈良いところと不便なところ〉
島での子育てをしている中で、その子の個性によるところもあるとは思いますが、良いなぁと思うことがあります。
小規模校のメリットを最大限に活かし、自己肯定感を積み重ねることができるところです。
必然的に、小中一貫校の形なので、落ち着いた学校生活を送ることができます。
小中学校合わせても30名程度の児童・生徒数なので、全員が兄弟のように育ち、上級生が下級生をリードする活動が多いです。
逆に不便に感じるのは、アクティビティの選択の自由が少ないところ。
人数が少ないので、何事も全員でやらねばならず、特に中学生になると小学一年生からの下級生全員をリードしなければならず、やりたいこととやらなければならないことのギャップを感じることが多そうだなと思います。
また、沖縄県は残念ながら全国学力調査でも最も学力が低い県の一つですが、県外に進学したときにそのギャップをぶつかることが多いようです。
そもそも、学校でもあまり勉強勉強と言われないし、塾もないし、子どもたちはちょこっと宿題をやる程度なので、勉強時間は少ないかな。
家庭でも子どもと一緒に楽しく学ぶ習慣を持つことが必要だと感じますが、両親ともに忙しく働いている家庭が多く、我が家もなかなかできていないと反省しています。
買い物はどうする?
食料品や日用品の買い出しは石垣島のスーパーの船積みサービスを使います。
野菜はできる限り「ゆらてぃく市場」で買い、その他の食料は「サンエー」をメインに使っています。
サンエーは離島ターミナルからの無料シャトルバスを出してくださっているので、本当にありがたいです。
ゆらてぃく市場で買った野菜は、船の時間がうまく調整できない場合は、八重山観光フェリーのカウンターの方にお願いをして、船の時間まで荷物を預かっていただいています。(これまた、感謝しかないです。)
1週間分の買い物をしてレジで支払った後、荷物はスーパーの方が箱詰めをして石垣の港まで運んで、竹富行きの船に乗せてくださいます。
私たちは、自分の島の港で船に積まれた荷物を下ろし、車で自宅まで運ぶことができます。
船からみんなでバケツリレーのように荷物を下ろす作業は、連帯感が味あわえて楽しいです。
この船積みサービスのおかげで、私たちは日常生活を送ることができています。
働いていると、休みの日にしか買い出しに行けないので、私は大体1週間に1度です。
そうすると、週の終わり頃には冷蔵庫の中が寂しくなってくるのですが、そのおかげで食材をしっかり使い切って、無駄なく生活できているように感じます。
ぜひ見てもらいたいもの
もし、自分の大切な友人が竹富島に遊びに来てくれるならば、ぜひ見てもらいたいのが日が暮れた後の島の雰囲気と星空です。
日帰りの観光客でもコンドイ浜をみたり、カイジ浜で星の砂を探してみたり、なごみの塔の丘に登って赤瓦の家並みをみたり、水牛車観光をしたり、サイクリングをしたりできます。
しかし、西桟橋で見る夕日や夕日が沈んだ後の静かな集落、真っ暗な空とたくさんの星。
これは泊まった人にしか見られないもの。
お天気の良い時は、飲み物やつまみを持ってコンドイ浜で夕日を見ながら楽しみ、夕食後、真っ暗な中港の方まで行って石垣島の夜景をみたり、温まったコンクリートに寝そべって星を眺めたりします。
これを見てもらいたいなと思います。