新城島(パナリ島)- シュノーケリングと集落散策ツアー –
新城島(パナリ島)に上陸
八重山諸島の中で、定期船のない有人島、新城島(パナリ島)に日帰りで行ってきました。
新城島について知っていたことは、竹富島の種子取祭奉納芸能の踊りのひとつ、「仲筋のヌベマ」というお話で、竹富島から新城島の役人に嫁入りした娘を思う母親の悲しいお話。
上等な苧麻の種とパナリ焼きの水瓶を引き換えに大事な娘を嫁にやらなければならないという切ない背景があり。
竹富から新城に嫁に行くということは、その後、なかなか会うことができなかった時代だったのだろうと想像します。
(そのときに引き換えにもらったというパナリ焼きの水瓶は現在、竹富島の仲筋集落内、幸本家の庭に飾られています。)
現在、新城島へ行く定期船はなく、気軽に訪れることができる島ではありません。
地元の方と一緒でないと、集落内も勝手に歩いてはいけないとか。
他の島でも御嶽はむやみに足を踏み入れては行けない場所ですが、新城島の御嶽は観光客は写真を撮ることもお願い事をすることも控えるよう言われました。
西表島大原港から南東に7kmの場所にあり、上地島と下地島の二つの小さな島からなり、二つの離れた島ということでパナリ(離れ)島と呼ばれます。
住民票を置いている人は10名ほどですが、実際には石垣か西表にも家があって行き来をしている方がほとんどで、定住している方はいないようです。
船は大原港から石垣行きの船に乗り、途中で下ろしてもらいます。
新城島出身の方のツアーなどで予約をしないとチケットも購入ができません。
私たちはパナリ島観光の西泊さんにガイドをお願いしました。
新城島散策&シュノーケリングツアー
【料金】大人9,000円 子供7,500円(大原港発着の場合)
大人11,000円 子供9,000円(石垣島発着の場合)
※幼児は一人の場合保険料500円
※船代・保険料・弁当・ドリンク
【スケジュール】
8:30 石垣島出発
9:30 西表島大原港出発
パナリ島上陸
ビーチにてシュノーケリング
ランチ
2回目のシュノーケリング
シャワー・着替え
15:40頃 新城島出発
16:30頃 石垣島到着
港の海の色もとても濃くて、透明度が高く、小魚が群れをなして泳いでいます。
海の中もきれい。ですが、よく見ると浜にはプラスチックやペットボトルなどの漂着ゴミが流れ着いており。
定住する人も観光客もあまりいないので、拾う機会もすくないのでしょう、そのままになっています。
拾っても、それを回収してもらう仕組みが、他の島よりもさらに難しそうです。
一、無断でお宮(御嶽)に入ったり、勝手に願い事をしてはならない
二、集落の中を裸や水着のままで歩き回ってはならない
三、海辺でキャンプ、野宿をしてはならない
四、島地自生する動植物を採集し、島外へ持ち出してはならない
五、持参した弁当、飲み物などの空き箱、空き缶、ペットボトルなどは全て持ち帰ること
六、空き缶、空き瓶を石垣の上に置いたり、人家の屋敷や空き屋敷に投げ捨てないこと
竹富島と同じで、島内に山や川がないため、水には苦労した歴史があるそうです。
水道が引かれる少し前の1975年に、島の最後の小学生が学校を卒業し、廃校になって以来、住む人はさらに減ってしまったそう。
小学校の跡地に、新しい建物が建っていました。
公民館施設と避難場所を兼ねた建物だそうです。
海抜4mの島なので、津波の危険があるときはこの建物の屋上部分に避難することになっています。
(ライフジャケットや避難備品が常備されているというところが、しっかりしています。)
このショップで着替えやシャワー、お庭で食事をさせていただきました。
テレビも、少し電波は悪そうでしたが、ついていました。
ここで身支度を整え、シュノーケル器材をお借りし、徒歩でビーチに向かいます。
向かいに西表島の東部が見えています。
午前中はここでシュノーケリングをします。
この辺りは比較的遠浅で、2016年の夏、台風が来なかった間に海水温が上がりすぎてサンゴが白化してしまった場所。
浅い部分はまだサンゴが白く、復活できていないようです。
少し奥の方へ行くと、カラフルな魚も泳いでいました。
今日はお天気も良いので、空も青くて、海の色も濃いです。
水の中に入っていると暑くも寒くもなく、快適です。
集落の中も少し案内していただきながら散策をしました。
道幅が狭く、屋敷囲いだけが残っている土地も多くあります。
建物は意外と新しそうなお家もあり、屋根や赤瓦ではなくトタンのような屋根のところが多い印象でした。
赤瓦を張り直すのはお金もかかると聞きますので、大変なのかもしれません。
午後は集落から1kmちょっと離れた、下地島との対岸のビーチに移動してシュノーケルをしました。
先ほどのビーチよりも深いので、サンゴも生き残っており、綺麗な魚達と一緒に泳げます。
私たちは夏の間にダイビングの講習を受けたので、シュノーケルも問題なくできましたが、全く初めてだったらちょっと恐かったかな。
新城島近海ではかつてシュノーケルやマリンレジャーの死亡事故もあったそうなので、一人で遠くに行かないなど気をつけながら楽しみました。
下地島の方は牧場になっていて、集落はありません。
新城島のビーチも、集落も、気になったのがアブ。
小さな蜂のような虫が手足を噛んできます。
チクっと痛いので、たたいて避けようをするのですが、すぐにやってきて結構厄介です。
石垣や竹富にいるときにはほとんど経験したことがなかったので、新城島や西表島に多いのかもしれません。
昔、西表島はマラリアに苦労してなかなか人が住めなかったといいますが、島により苦労は違うのだなぁと改めて体験しました。
船の時間に合わせて帰り支度をして、港に向かいます。
島の人にとっては、この桟橋はサンゴや景観によくないと反対もされたそうです。
浮き桟橋ではないので、潮の干満によって船の乗り降りがちょっと大変かもしれません。
ツアーガイドの西泊さんが予約をしてくださった15:30大原港発石垣港行きの船が私たちツアー客を拾ってくださいました。
新城島に上陸できるツアーは今回パナリ島観光さんの他に、新城島観光さんもあります。
そちらは自社船での上陸になるそうで、シュノーケルもボートダイブとビーチダイブの両方を体験できるそう。
他にもシュノーケリングやダイビングだけして上陸しないツアーもありますが、
地元の方に案内して頂くからこそ聞けるお話も貴重なので、ぜひぜひ上陸(集落散策)もおすすめします。
まとめ
西泊さん親子に伺ったお話で印象的だったことがいくつかあります。
①秘祭と言われる、島にルーツのある方だけで行われる祭りを継承するにあたり、後継者問題などはないかと尋ねると、その心配はないと断言されていたこと。
定住する人がいなくても、高齢化していても、一つ返事で心配ないという返事が帰ってきたことに少し驚きました。
これは、同様に秘祭を行っている西表島の古見集落の方も「心配ない」とおっしゃっていて、通じるところがあるのかなと思いました。
②西泊さんのお父さんが新城の学校に通っていたときの話。
40年ほど前までは水道がなくて、井戸の水を使っていたときの話など、竹富島の昔の話と通じるところがあって面白かったです。